つばめも

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赤い公園 THE LAST LIVE 「THE PARK」を目撃した話

先に言います、ロックバンドが好きな人全員このライブは観た方がよい…

赤い公園 『赤い公園 THE LAST LIVE 「THE PARK」』Stagecrowd

アーカイブ今日5/29の夜中まで!急いで!!

 

ここから先はレポートというよりは感情の整理用なので諸々大目にみてください、大好きなバンドの解散ライブを目の当たりにした話。

ここまでの人生において、「解散ライブ」なんてそれこそ友達が学生時代組んでたバンドの単位でしか味わってこなかったので、音楽を生業にしている人たちの世界でのそれがどんな空気になるのか全く想像もできなかった。

「最終回」となるライブであり、大げさに言ってしまえば、ひとつの「死」を迎える瞬間がこの日のこの空間なわけで。多分誰しもが特別な心意気で赤い公園の音楽を聴き入れていたと思う。

始まってみれば、「ランドリー」という初期の楽曲から幕を開け、「オレンジ」という最新の楽曲で本編を閉じ込める、バンドの歴史をなぞっていくような美しい構成になっていた。

2曲目「消えない」”終わらせるなら今だけど こんなところで消えない消さない”や5曲目「紺に花」”二度と逢えない気がしてる”と、このタイミングであまりにトゲを持ってしまう歌詞を奏でていたりと、楽しげな楽曲の背に確かにある最終回の空気が堪らなかった。

昨年夏のオンラインライブでの最高な繋ぎが再現された「絶対的な関係~絶対零度のような勢いのある元気な曲を聴いている時くらいは楽しいで満たされるんだけど、余白があるたびに「こんなにいいバンドが音楽を止めてしまう悔しさ」が沸々と起き上がってしまった。感傷の極みは「play」、めちゃくちゃ良かったな。

サポートを入れての演奏や、”さんこいち”と題されて演奏された「衛星」「Highway Cabriolet」「Yo-Ho」など、形を変えて音を鳴らしていく道を選んでいくという選択もある中で選ばれた「解散」という答には<頭ではわかっているけど吞み込みきれない>悶々とした感情も覚えた。

それでも3人の言葉から透けて見えたのは「津野米咲のいる赤い公園」を遺す意味での解散なんだという、選んだ道の位置づけだ。

解けて散ると書く「解散」ではあるが、どこか3人から津野さんへ向けて「赤い公園」というバンドをプレゼントしているかのような意味を持った決断だったように見受けられた。

最後まで津野さんが描いたたくさんの赤い公園の楽曲たちは、揺るぎない演奏技術を持つ3人と、この日限定のサポートメンバーの3人の力でどこまでも明るく美しく染められていた。

本編終盤はツインギターでたくさんのやりたかった曲を並べたメドレーからバンドの代表曲「KOIKI」「NOW ON AIR」「yumeutsutsu」と立て続けにキラーチューンをぶつけて、この日までの赤い公園を総ざらいするように「夜の公園」で仕上げた。(好きな曲だらけのブチ上げゾーンで最高すぎた)

最後の3人のMCでは「生きている人は物語のページをめくることもできるし、書き足すことも燃やしちゃうこともできる。2人もなんでもできるから、私の携帯番号は緊急連絡先にしてね」というベース藤本ひかりさんの言葉があり、

「私自身が赤い公園の曲に救われ、助けられ...。米咲の曲が大好きだし、赤い公園の曲を自信を持って叩けるようになりたいと思ってここまでやってきたけど、それができたと思う!」とドラム歌川菜穂さんが続け、

そんな2人、いや3人のお姉さんメンバーやスタッフ、ファンへ向けてボーカル石野理子さんから「赤い公園の楽器隊の楽しそうな姿に魅了された。8個も9個も年が違うのに、一人ひとりリスペクトしていけるバンドになろうねと受け入れてくれて嬉しかった」と感謝の想いを述べていた。

本編ラストは昨年11月にリリースされた「オレンジ」で”最後くらいかっこつけたい””さよなら”と締めくくった。最新曲でありながら、このバンドが生み出した最後の曲となってしまう結末を迎えてしまったが、そんなこの曲が本編ラストという最大限輝ける位置で演奏されたことも嬉しかった。

演奏が終わると「赤い公園でした!」と潔く締めくくり、大きな拍手に埋め尽くされていた。

 

そして、鳴りやまない拍手に”呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン”とアンコールへ。拍手が一体になっていくあの感じ、今まで見てきたどのアンコールよりも自然発生的に空気がひとつになる感じが強くてびっくりした。

"ひとりじゃないのさ"と歌う「KILT OF MANTRA」はボーカルが抜けてしまった時代につくられた曲。不思議な引力か、最後もメンバーを欠いてしまった文脈での演奏になった運命に心が唸った。

クラップに導かれて始まった「黄色い花」は金テープと溢れんばかりの幸福感に華々しく彩られ、最後は「12年間お世話になりました。ありがとうございました!」と「凛々爛々」で力強く駆け抜けて飾った。

最後はお立ち台に3人で上がっての挨拶、そして「じゃあみんな、解散で!解散!」と結んだ。

”ずっと愛してあげるわ”と言いたいのはステージを観ているこちらも同じだったのではないだろうか。バンドとしての活動はこの日を以て打ち止めになるが、この日演奏された全29曲の音楽と、そこに収まりきらなかったたくさんの赤い公園の音楽は、強く記憶に刻まれ、忘れたくないものであり続ける。

良い音楽、良い演奏が揃う最高でしかないライブで、こんなに最高な音楽を持っているバンドと時を共にできることももうないのかと思うと本当に寂しい。しかし、これもまたひとつの結末だ…。ある種の「死」である解散だが、その名前と音楽は生き続けるのである。

何か一つでも違えば、また違う未来も見えていたんだろうなとか思ってしまうけど、これが赤い公園の歩んだ道と表現した音楽の全てなので、その全てを受け止めたい。

 

そしてメンバーの御三方にはどうか今後もたくさんの幸せに囲まれてほしい。いつかまたどこかで、できれば音楽をやっている姿を拝見したいな。

赤い公園、本当にありがとうございました。最高にかっこよかったです。これからもお世話になります。

 

 

最後にもう一度、ロックバンドが好きな人全員このライブは観た方がよい…

赤い公園 『赤い公園 THE LAST LIVE 「THE PARK」』Stagecrowd

「最後」を覚悟しているバンドマンのアクト、本当に響くものしかないし、今を生きているバンドの凄さ、尊さ、ありがたさモロモロが逆説的に浮彫りになってしまう副産物まで得られるので。

好きになった、琴線に引っかかったタイミングはもう運命みたいなものなので早いとか遅いとか関係なく割り切れるけど、一度好きになってしまったものはできるだけ捕まえておいた方が色々楽しくなるよね。

 

ということでライブが終わった勢いでの深夜(早朝)の殴り書きが終わりました。

ここまで読んでいただいた方、お付き合いいただきありがとうございました!