つばめも

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【ライブレポート】UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour Spring Spring Spring 5/20東京ガーデンシアター公演

みなさんこんにちは、ツバメです。

タイトル通り、今回は再演されたSpringツアーについて語り倒していきます。

筆者はリアルタイムで9年前の彼らのステージ上で起きていたことを知らなかった側の人間ですが、このツアーに対して沸き起こる感情を言語化していこうと思います。よろしくどうぞです。

Normalツアーのブログのように視界に見えたものの話は普通のサイズ、うろ覚えMCとオタク特有のセットリスト解釈は文字のサイズ下げているのでじゃんじゃんよみとばしてくださいね、長いので

 

0.Revival Tour Spring Spring Springの位置付け

ライブの前に「そもそも」の話、このライブがどんな位置づけだったかを考えてみる。

オリジナル版は5枚目のシングル「オリオンをなぞる」と3枚目のフルアルバム「Populus Populus」をリリースした翌年の2012年に東名阪ツアーとして開催された。(3公演のみだった)

当時のUNISON SQUARE GARDENはというと、音楽面ではアニメタイアップ曲としてkid, I like quartetや、オリオンをなぞるといった今後のバンド人生を大きく支えていく曲を生み出している。

その傍ら、Populus Populusツアーで指定席公演を取り入れたりと、ロックバンドのスタンディング至上主義やライブシーンにおける一体感至上主義に一石を投じるような主張をしている。(まだJPOPをひっくり返そうとしていた時代なのでこの頃のベースお兄さんは若干思想が強いが、それはそれで好き)

根本に眠るマインドとしては今とさして変わらないだろう。「自由に」「君の好きなように」そんな言葉と共にライブという形で音楽体験を届けていたこのバンドの心意気や意図やはブレずに確かに存在し続けているはずだ。

そして今回のリバイバル版はそこから9年の時を経ての開催となる。Normalツアーに続く2021年2発目のワンマンツアーの開催で、ライブができる状況である限りは”普通にやる”というのが今のUNISON SQUARE GARDENのスタンスだ。自ら暗黒期とまで評してしまうJET CO.の曲を救ったツアーの直後にこのセットリストをぶつけてくるのも憎たらしい。

「バンドはいつだって新曲が必要なわけではない」「長く続けるためには工夫がいる」そんな言葉と共に飾られてた≪再演≫を語っていこう。

 

SE.絵の具

1.Overture ~Spring Spring Spring~

SEが切れると軽妙な歪みのギターから、このツアーの目玉の一つであるセッションへ。

長く伸ばす「イェーーーーーーーイ」や短く切って繋げる「イェイイェイイェーイ」を組み合わせてタイトルコール「Spring Spring Spring!」と展開する。

服装に始まり、低いシンバル、赤いベースを始めとした機材の様相はもちろん、それらのサウンドやボーカルの発声方法など、全てが"9年後のUNISON SQUARE GARDEN"なのだ。

偶然か、このツアーからドラムとギタボのステージ衣装が新調されたのも2021年要素となっていて良かった。

2.フルカラープログラム

「お待たせ!」の一言から七色のライティングとともにお馴染みのイントロへ。

 七色の光の下に輝くギターリフが終わるとAメロからいきなりドラムが立ち上がりフロアをスティックで指しまくるのが良かった。最近ドラム立ち上がりがちで好き。

1サビの入りがMMMツアーの時のようなスネア連打タイプだった気がする。

イントロ七色なのにラスサビで「モノクロでは説明できない」と歌いながら照明の色が抜け落ちてるというコントラストが相変わらず最高。

プログラム違いだけど、リバイバルという情景なら”あの日に見た虹みたいな音楽だって変わらず鳴っているよ”が似合ってしまうわね…。

3.プロトラク・カウントダウン

フルカラープログラムの最後の一音を残しながらそっと優しくそして素早くカポを外してドラムからスタート。

間奏のソロ回しも迫力満点。ギターソロ後の歌に戻ったところから裏のドラムが滝のようにスネア連打するのが好きすぎる。

疾走感のあるアクトで”走るよ 君の涙が止まるまで…”と締めくくっていく。

最後のカウントダウンを終えるとドラムがスティックでギターを指して次の曲へ。

前の曲のサビ”涙キラキラ”に対して、”君を泣かせる世界の方がおかしいよ”とバンドきってのキラーチューンにカウンターをかますような歌詞を持つこの曲をこの位置に置いているのがこのツアーのコアな面白いところ。後述していくが”涙”に関する描写が目立つ曲が多く、セットリストのキーワードになっていることを伺わせる。

4.23:25

スティックで示された方角からギターが始まりお馴染みのイントロへ。

サビの”今握りしめて走り出せば/誰も知らんよな抜け道をさ”の裏声の当て方がこれまで以上に美しくなっていてよかった。(多分歌い方変えたのこのツアーからだよね?)

今までは「イマァ!ニギリシメテェ!」だったのが、

「今ぁ⤴握りしめてぇ⤴」と優しく裏声を当てていく感じ。(伝われ案件)

また「この曲」という単位を超えてこのライブ全体でのハイライトの1つとして落ちサビの照明を挙げたい。”揺らいでる風景も七色に変えてキラキラ”で背景が虹色にバチっと切り替わる演出が本当に最高だった。23:25という曲のライティングの正解が出てしまった感すらある満点の虹色演出だった。

アウトロのドラムが暴れまくってたのも良かったよね。

歌詞的にはプロトラクト・カウントダウン”時計の針がチクタクチク”やカウントダウン”3,2,1”から23:25へとカウントダウンとアップが続いているかのような感じで繋がる。(強引)

”涙キラキラ西の空に光る”→”今週末の天気はけっこうぐずついています/宇宙に雨なんか降らないのに”→”彩られては花盛り少しあっては雨降らし/いまだかつてない未定の空模様”などと、空模様にかかる表現を盛り込んだ曲が続いてくるのも何かあるのかもしれない。

 

MC(ざっくり)

斎藤「今日は9年前にやったSpring Spring Springツアーと全く同じセットリストでやります。

最後まで楽しんでいってください。よろしく!」

5.空の飛び方

そんないつも通りなMCから始まったのは、2019年のBee Sideツアーで「恥ずかしいからもうやらない」と称されてしまった曲だ。こういう曲が復活してしまうのだからリバイバルという概念には感謝してもしきれない。(空の飛び方に投票したオタクより)

一部例外はあれど、今ではワンマンツアーにカップリング曲を引っ張ってくる事自体がレアになってきているし、この曲みたいなシンプル歌モノポップソング自体も貴重な存在だし、”僕らの時代ですな”なんて歌詞はもう生まれないだろうなとも思う。(笑)

青空を映し出したような照明と、落ちサビで三人の頭上からピンスポが降り注ぐのみになる光景が相変わらず良い。

最後は「ジャーン」と音を鳴らしながらカポを外し、「ジャン!」と鳴らして〆るという器用なやり方だった。

MCを挟んで”空も飛べるようなお年頃ですもの”と歌ったあとに置かれる空の飛び方。

”嵐は過ぎたようだ”や、”泣いてちゃ動けませんよ”とここまで述べてきた空と涙にかかる表現も盛り込まれていることが、この曲がこの位置にいる意味なのかもしれない。

6.デイライ協奏楽団

空の飛び方の余韻を残さず独特のヘンテコリフとゆらゆらした黄色い照明でデイライモードに突入する。

9年前と現在とで明らかにセットリストの組み方に相違があるのがこの空の飛び方-デイライ協奏楽団-スカースデイルの部分。

現在であれば、Normalツアーでコーヒーカップシンドローム→BUSTER DICE MISERYと繋げていたように、もっとアップテンポの曲を繋げてひっきりなしに演奏しているだろう。

真ん中にメドレーがある分のバランスを取っての構成なのかもしれないが、序盤のこの位置で心を穏やかにステージを眺める時間があるのは、良い違和感のある体験だった。

”俺泣き出しても一人ぼっち”とまたまた涙に関する描写があったりもする(こじつけ)

7.スカースデイル

デイライを〆てステージが暗転。閉じたハットでの4カウントから展開した。

武道館の時と照明が似ていて、上部から白いライトが降り、左から右へ順々に点滅しているのがMVのように森の中で風を感じているようで爽快だった。(もしかして毎回この照明だったり?)

あとギターソロの音色がめちゃめちゃ良かった。あの耳さわりの柔らかい音とリバーブ感がとても好き。

去年の配信ライブの際は「歌詞が青い」とか「恥ずかしい」だとか散々言われた”スカデー”であったが、「1,2,3僕の声を初めて君がキャッチした~」のコーラスは相変わらず綺麗で儚くてよかった。なんだかんだ3人とも良い顔で歌ってるから良い(良い)

8.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと

シンバルで余韻を残しつつ1フレットにカポをつけて4カウントからスタート。

この曲が描く光景も9年かけて大いに変わっただろう。新曲として披露され、CP曲となったりワンマンツアーのタイトルになったり、10周年ベスト盤に収録されたり、武道館ライブの1曲目に選ばれたりとオリジナル版Springツアーでの初披露から、至るところでこのバンドに色を付けてきた曲だろう。

音像としても、One rollツアーごろから始まった2ABのドラムアレンジを中心にめちゃくちゃ筋肉質なものになっている。ちなみにこの部分、照明がバスドラのドコドコに合わせて左右でチカチカ点滅する演出で笑った。 

 9.セッション~マスターボリューム

001終了後はカポ外しつつ、3人がタイミングを合わせて9年前には存在しなかったセッションへ。

ギターソロの冒頭部分→Aメロ直前のバッキングをアレンジしたような感じの特殊演出からイントロへ飛び込んだ。思えばCIDER ROADツアーあたりからワンマンライブのセットリストのフォーマット的なものが成立しはじめたが、そこに常に付随していたのがセッションという存在だ。次に演奏する曲を匂わせて観る者の心を奪っていくというカラクリが今回も大いに発揮されている。

Aメロ開始即上手に爆走しだしたベースはある意味9年前とそんなに変ってなくてウケたよね。オリジナル版もかなりの熱量だけど、この曲は特にドラムの味付けがハイカロリーにアレンジされていて良い。

一番良かったのはラスサビ手前の照明。”突き刺してよマスター”に合わせて斎藤さんの頭上1時の方角と斜め下4時の方角から伸びる白銀のサーチライトが交錯してバチっと決まるあの光景は、このツアーのハイライトの一つに違いない。

また、冒頭で”涙”に関する歌詞の話を展開したが、この曲のサビ”泣いてるまた泣いてるよ”もそこに加えたい。

9年前のツアーで示したかったのは、涙を流してしまうような哀しいことへの感情や、それに対する怒りの感情、それをライブという楽しくて喜ばしい舞台で鳴らすという喜怒哀楽のコントラストだったのかもしれない。

 

MC(ざっくり)

 斎藤「静かに待っていてくれてありがとうございます。このツアー通してお客さんがどこでもみんなマナーが良くて感動しました。そういうお客さんに恵まれていることを誇らしく思いますね。」(客拍手)

「今ここまで9曲やっているんだけど、もう次いつやるんだよ?みたいなのもあって、

1曲1曲「行ってらっしゃい、またね」と空に還すような気持ちでやっています(笑)」

「このSpringツアーは今までのライブで唯一メドレーというものをやっていて

それをこれからやるんですが、再現ツアーということで、せっかくなのでMCも再現しようと思います。」(ギター鳴らす)

「ついて来れる人はついて来てチョーだい!」(若干声作ってる)

10.スペシャルメドレー (文章もメドレーチックにいきます)

そんなMCと同時に始まったのはライドオンタイム。ステージ上方に白銀に煌めくミラーボールが出現し、会場を手玉に取った。

「ライドオンタイム…ライドオンタイム…」と連呼するコーラスを切り裂くように等身大の地球のスラップが跳びこみ、たちまちオレンジ色の照明に包まれながらダンサブルな歌とリズムに転がされた。

サビ手前では珍しく「カモンッ!」と一言挟むなど、細かなところまで9年前のフレッシュさが再現されていて良い。

そんな軽快なビートから流れるようにMR.アンディ「君が残像に」のコーラスに飛び移る。群青色に染まるステージ、黄色く照らされるミラーボールと”月が出るみたい”なライティングが際立っていた。時節柄客席を取り巻くのが”濃い層”故、クラップがやたらにしっかり聴こえてくるのが趣深い。

MR.アンディのアウトロとCAPACITY超えるの冒頭のドラムが一体化したようなキメを重ねる繋ぎのアレンジからベースが主導するイントロへ突入すると同時に怪しげなバイオレットのライティングに切り替わり、ムーディーなモードへ。

3人で奏でるサビのメロディラインに浸っていると、あっという間にアウトロのギターリフからワールドワイド・スーパーガールへ転換し、ステージはガーリーなピンクのライトに包まれる。ありったけのポップが大爆発するサビでは客席から無数の腕が上がり今世紀最大級の多幸感に襲われた。

またしてもアウトロとイントロのバッキングが重なるようにコーヒーカップシンドロームへ。3人での「アンドゥトロワ!!!」が添えられて展開するこのツアーならではのアレンジや、回るようなライトの演出に高揚感が煽られる。曲を〆つつドラムにピンスポを当てて繋ぐ間に4フレットへカポを装着。センチメンタルピリオド!」のタイトルコールと共にイントロへ突入した。

シンプルにまばゆい白い光に包まれながら鳴らされるのがどこまでも似合ってしまうのが愛おしすぎた。(めちゃめちゃいい曲なんだから5年に1回じゃなくて3年に1回くらいはやってほしい)

センチメンタルピリオドを終えると「オンドラムスタカオスズキ!」の一声と共に、9年の時を経て「パワーアップ」や「進化」とかの言葉の次元では捉えきれないくらいの変貌を遂げているドラムソロへ突入した。

後光が指すような後方からの照明の中で鬼の手数をこなすドラマーと、あまりのすごさに棒立ちで拝むのみな観客という構図が相当にシュールだった。

中盤のシャッフルビートに合わせて反時計回りにピンスポが点滅していくところが一番好き。

最後はドラマー自らマイクに向かってガリレオのショーケース!!!!」と叫ぶと同時に

「スタイルは上機嫌だってさ」と”ス”でギタボへバトンが渡されるアレンジに。

曲が始まっているのにベースが帰ってこないところまで完全再現仕様なのが良かった。この日は登場しつつも上手袖に即消えゆき、2人しかいないステージで”謎の第三の音がする状態”になっててウケたね。

この日の間奏は珍しく斎藤さんの方がはっちゃけていて、上手へ下手へ縦横無尽にベースおじさんと追いかけっこを展開する謎サービスでどちゃ笑った。ギター弾いてるのに地味に逃げ足が速い斎藤さん本当に良かった。(笑)

一番運動量多い人が突き抜けすぎていて目立たないけど、残りの2人も本質的には同じ多動の血が流れているのが愛。

最後は「サンキュー!」で締め、束の間の暗転。そして...。

11.シャンデリア・ワルツ

完全無欠の今ツアーMVP曲。

生きたライブの中で演奏されるのがプログラム15th以来という「大きな時間軸の流れ」と、直前の20分間アレンジされた短い尺の曲を間髪入れずに聴いていたという「小さな時間軸の流れ」の相互作用から感じるカタルシス、浴びるフル尺のシャンデリア・ワルツが最高じゃないはずがないじゃないですか。

9年前のオリジナル版では「新曲やります」的な一言があったり、そもそもガリレオのショーケースを〆て一度流れが完全に止まっていたりしたが、その時間を完全にカットして繋げてしまうのが、”行き着いた先に存在するUNISON SQUARE GARDEN”感がある。

新曲枠としてこのツアーで生命が宿されたという意味では、001とシャンデリア・ワルツがオリジナル版Springツアーとリバイバル版Springツアーの意義深さを教えてくれる存在なのかもしれない。

「わからずやには見えない魔法をかけたよ」の例のポーズがすっかり定着しているのも、この曲が歩んできた道のりを思い起こさせて良い

何通りもの感情をぐちゃぐちゃにしていくタイプの本当に良いシャンデリア・ワルツだった。(毎回言ってる)

 

12.クローバー

暗転を挟みクローバーへ。バラードながら、なんだかんだで至るところで披露されているこの曲の息の長さが凄い。まさに”未来のパズルに続いてる”と言ったところだろうか。(無理やり)

思えばon the SEAT以来の拝聴、しかも同じ会場。しかし、あの時はアカペラやBPM上げ気味の特殊演出もりもり版だったので、同じ会場と言えど同じ曲を聴いている気分ではなかった。

殆どの場面が明るく照らされていたシャンデリア・ワルツと対局の終始暗めの演出で、クローバー特有の静謐な空間が広がっていた。

このツアーのセットリスト的に言えばメドレーとシャンデリア・ワルツですべての力を持っていかれているタイミングだし、次の曲も記憶領域を奪ってくるタイプの曲なので、正直言うとあまり視覚の記憶がない(ごめんなさい)。

 

13.シュプレヒコール~世界が終わる前に~

暗転から息を吸い込むわずかな音が漏れ、

”あなたの名前を呼ばなくちゃ” と弾き語りのアレンジを挟み、エフェクターのスイッチをカチッと踏んで歌い出しへ戻っていく。(エフェクター踏む音フェチだからあの音が会場に響くのめちゃすき)

冒頭ボーカルアレンジは、思い当たる範囲で古くは武道館のMR.アンディ(武道館を古くと表すの凄い違和感ある)やプログラムcontinuedツアーのさわれない歌、最近ではBee SideツアーのI wanna belive、夜を行くや配信ライブのmix juiceのいうとおり、NormalツアーのPhantom Jokeとここ5年でよく見られるようになったものである。

アレンジされた部分の歌詞をサビで2度目に聴いた時の伏線回収感は堪らないものがある。

最近では観客の集中力を鑑みて、バラード系の曲をあまり多く並べない構成になっているので今回に関しては、バラードゾーンにメリハリをつける狙いがあったのかもしれない。このバンドのライブが進化した証の一つでもあるだろう。

3人で儚く奏でるサビ、”何度も星を数えたよ”以降の切迫するような歌い方、どこをとっても力強く訴えかける何かを感じとれてしまって良い。

サビ最後の"世界が終わる前に"は「せ」を一拍遅らせて「セカイがぁ〜終わる前にィ〜」とライブ版のアレンジで歌い上げていた。

”あなたの名前を呼ばなくちゃ”は、「あなた(⇔リスナー)の名前を呼んで、気が付いてもらわなきゃいけない」と置き換えることができてしまう。これは9年前も今も根底にあり続けている感情のひとつなのだろう。最近の「ちゃんと見てくれよ」に繋がるものを感じる。

この曲をアルバム的な時間軸で見ていくと”あなたの名前を呼ばなくちゃ”はCIDER ROADの数々の楽曲で回収される。(シャンデリア・ワルツ”ちゃんと名前もある 譲れないものもある”など) 

一方、ライブ的な時間軸で見ていくと”夜が明ける前に”が後続の曲で回収される。そんな風にして9年前のセットリストであっても変わらず、歌詞を通してはじめて見えてくる世界が存在しているのだ。これこそ魔法のそれなのかもしれない。

14.cody beats

シュプレヒコールに続きカポ1の曲なのでスムーズ歌い出しへ。

今ではすっかりその存在を隠すようになってしまったけれど、本当に良い曲。当時の主力曲であったことを示唆するこの位置いるというだけで愛おしい。(これで最後じゃないって保証されてるのも心身ともに安らかに聴ける要因になって良かった)

心が折れそうな状況の詞が散りばめられているシュプレヒコールから、”この足”で向かう覚悟を決めるcody beatsが続くところに文脈性を感じてしまって良い。(良い)

”あなたの名前を呼ばなくちゃ 夜が明ける前に”→”その声がする方へ僕は歩き出す””夜が明けないのを誰かのせいにしてるやつはもうどっかいってしまえ”と「夜」というフレーズを介して物語が進んでいく。

15.オリオンをなぞる

”こんな深い夜に”行き着いた先でなぞるオリオン、本当に2012年のUNISON SQUARE GARDENのすべてが集約されている感が全開で良い。

トリ前に勝負曲置きがちなのは当時も変わらずだし、それがこのバンドの代名詞であるオリオンをなぞるであるというのが「物語」なんだよな。

どうやら先日でリリースから10年経過したようだけど、この曲の輝きは微塵も色褪せないし、9年前のセットリストを今演奏するからこそ”昨日までをちゃんと愛して見たことない景色を見るよ”という万能フレーズがまた一段と輝いてしまっている。

何でもないような言葉で”泣いたりする”涙の描写に、”こんな深い夜”に”オリオンをなぞる”の空模様の描写と序盤の歌詞の回収祭り。単にこの時期の曲に空に係る表現が多く盛り込まれているという捉え方もできるし、単純な強い曲の並びとも捉えられるけど、ちょっと捻った解釈を重ねる方が楽しいのでお許しを。

16.場違いハミングバード

「ラスト!」の一声から親の声より聞いた絶叫4カウントで爆上げイントロへ。

"hard day's night”に羽ばたくのはオリオンと並んで9年間以上もの間このバンドのライブを支え続けた場違いハミングバード

叫ぶドラマーに走るベーシスト、何食わぬ顔で歌い続けるギタボと最後まで画の情報量が渋滞していて愛。オリオンも場違いもBメロコーラス伸ばしまくりなオンドラムスタカオスズキ最高だし、サビのバスドラに合わせてサビで左足ドスドスしまくる田淵智也さんも大好き(オタクだから場違いの左足の話マジで100回はしてる)

「こちらのアドレス」のアレも健在で笑ったし最後までロックたっぷりのボリューム感満点の”再演”だった。

”ああ僕はまたつまらないことで君を泣かせたりしてるの”とここでも涙への描写を見つけることができる。

 

ENCORE

MC(ざっくり)

斎藤「アンコールありがとうございます」

後ろからすかさず「新シャツいいね」と弄る鈴木貴雄さんに対して「音楽が良ければシャツなんてなんでもいいと思ってるんですけどね、女性スタッフからシャツ変えなさいって苦情があったんで…」

と弁明する斎藤宏介さん、本当にシャツのことなんてどうでもよさそうで笑っちゃった。

斎藤「今回のツアーはこの状況下、まだまだライブに来れない人もいる中で、最新のアルバムツアーはまだやるべきじゃないと判断して、じゃあ何か面白いことはできないかと探した中で始まったものでした。

リバイバルツアーはとても楽しかったし、またこの後本数は少ないけどリバイバルツアーをやって、秋からはようやくPatrick Vegeeのツアーやろうとしているところです。またライブでお会いしましょう!」的な感じで締めて演奏へ。

01.アイラブニージュー

この位置にはっちゃける系の曲が置かれているのも9年前のセットリスト感が漂っている。9年後ならではだが、最近のJET CO.の波を回収するかのようにこの位置で聴ける面白さもあった。

このツアーでは例の風船を模したような浮揚感のある照明演出が施されていた。相変わらずの多幸感満点のアクトに笑みがダダこぼれになってしまったよね。

斎藤さんが一番楽しそうにギター弾いてる曲な気がする。

02.サンポサキマイライフ

この位置にこういうロックなテイスト強めな曲が来るのも今ではあまり見られないパターン。

「ハイ!」の部分で上がる腕に対して嬉しそうな表情をしてるように見える斎藤さんの顔が良かった。

ギターソロが聴くたびに分厚くなってて良い。タッピングやらチョーキングやら技のオンパレードでギタリスト斎藤宏介がエンジン全開になっていて良いよね。

本編の感情回収に引き続き、「今夜のライブも最高ですわ」なアイラブニージューで喜と楽、「愚かなこの世の不条理にギャフンと言わせたい」サンポサキマイライフで怒を回収している。1,2,3で端から端→”サン”ポサキマイライフ→”4つ”の感情が行きかってとも繋げられて楽しい。

03.kid, I like quartet

「ラスト!」と置いてスタート。

喜怒哀楽を全開に表してきたセットリストの行きつく先に待ち受けるのが”この街を幸せにする”この曲である。

なんといってもラスサビで客席の照明を全灯にする演出にやられた。境界線が引かれているはずのステージとフロアに、最後の最後で同じ光が灯されてお互いそれぞれの世界に帰っていくという流れ、本当に本当に良い。

”as you like”というこのバンドのライブスタンスを端的に表したフレーズと共に、9年後の世界特有の間隔が空いた客席と、can you see?の声も出さない光景がまさに「今じゃなきゃわからない答」になっていて最高だった。

9年後の春が来ても、大音量で街を行くUNISON SQUARE GARDENの相変わらずな姿にどこまでも力を貰ってしまった。時間が経って変わったこと、変わらなかったこと、その全てがUNISON SQUARE GARDENUNISON SQUARE GARDENたらしめているモノなのである。リバイバルリバイバルという存在にわずかな期待を込めながら、一旦このセットリストにお別れをしたい。またね!

 

Revival Tour Spring Spring Spring セットリスト

01.Overture ~Spring Spring Spring~

02.フルカラープログラム

03.プロトラクト・カウントダウン

04.23:25

05.空の飛び方

06.デイライ協奏楽団

07.スカースデイル

08.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと

09.セッション~マスターボリューム

10.スペシャルメドレー

≪ライドオンタイム-等身大の地球-MR.アンディ‐CAPACITY超える‐ワールドワイド・スーパーガール‐コーヒーカップシンドロームセンチメンタルピリオド‐ドラムソロ‐ガリレオのショーケース≫

11.シャンデリア・ワルツ

12.クローバー

13.シュプレヒコール~世界が終わる前に~

14.cody beats

15.オリオンをなぞる

16.場違いハミングバード

-ENCORE-

01.アイラブニージュー

02.サンポサキマイライフ

03.kid, I like quartet

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ツイッター写真下手部(もう少しちゃんと撮ればよかった)

お読みいただきありがとうございました!