さて皆さま、今更ながらあけましておめでとうございます。遅すぎますね。
2020年1本目の記事はXIIX(テントゥエンティ)(エックス、アイ、アイ、エックス)の1stアルバムWhite Whiteのディスクレビューです。
恥ずかしながらまだCD買えてないのですが、容易に新しい音楽に接することができるサブスクというシステムは本当に最高ですね。ありがとうございます。
(販促)
ということで、はじめていきます。
まずDLしながら楽曲のタイトルをずらっと見た際に、洒落てるタイトル揃いで身構えてしまった感もあったが、肝心の音像もタイトルを十二分に反映するオシャレさに度肝を抜かれた。
これだけ多彩な方面からアプローチを仕掛けてくるのに14曲43分という驚きの聴きやすさも素晴らしかった。
1曲目はギターから始まるインスト。1分15秒という短さだが、微かに聴こえる斎藤さんの声が聴き手をWhite Whiteの世界に引き込む引力になっている。
2.Stay Mellow
短い曲間からピアノのイントロが始まる、どこか東京事変のような妖艶なサウンドと、「私の中の悪魔が目を覚ます」という歌詞が印象的なリードトラック。
お洒落で美しい曲の中にところどころからトゲを感じさせるフレーズを散りばめているのが斎藤さんの新たな一面を感じさせて良い。
本家のバンドで培われた小節に対して膨大なフレーズを小気味よく歌いこなしていくボーカリングは流石の一言。
あと間奏のギターが意味わからん(褒めてる)
3.Light & Shadow
こちらも短い曲間からピアノ系のイントロが始まる。アルバムの冒頭3曲は本家では通ってこなかったジャンルの曲で構成されているのは恐らく意図的なもので、「本家とは違うバンド」であることが示されている。
聴き手としてもそんなことはわかったつもりでいるのだが、3曲目までいわゆるロックバンド感のある音の曲が出てこないことで、ようやくXIIXというバンドの方向性を認識できた気がする。
Bメロの作りがボーカリスト斎藤宏介の凄いところが詰まっていてとても好き。流れるように最高音に達するのが美しすぎる。
サビ前の高音に反してDメロでは低音を混ぜてくるのも心を揺さぶられた。
4.Fantome
ここではアコギメインでスローテンポのバラードを投じてくる。甘い歌声に載せられて歌われる詞がすごい。「甘い果実が滴るまであなたを台無しにしてみたかったな」って歌詞何度見てもびっくりする。
妖艶という形容はさっき使ってしまったので形容に困っていたけど、こういうのを婀娜やかというのかね。なんというか綺麗なエロさを感じて良い。本業では見られなかった一面が顔を覗かせた感が最高。
5.Answer5
散々揺さぶりをかけられた後だったので、ほどよく歪んだギターの音とドラムのビートに安心したのはきっと自分だけではないはず。Dr.Izzyのエアリアルエイリアン→アトラクションが始まるを5曲かけて展開された気分だった(伝われ)。
8ビートに乗せて押韻しながら展開してくサビが本家で培われたギターボーカル斎藤宏介の魅力満点で花マル。
そしてこの曲は間奏のベース→ギターの掛け合いが最高にかっこいい。このアルバムの中で須藤さんのサウンドに初めて光があたるスラップ、めちゃくちゃ良かった。
6.LIFE IS MUSIC!!!!!
ここも短い曲間で畳みかける。ポップソングが続くこのゾーンはとても楽しい。前の曲よりさらにポップに寄せた曲になっているのも、曲順がよく練られていることを伺わせる。
13(じゅうさん)では割り切れずに120(ワントゥエンティ)って歌詞、何のとは言わないけどどことなく“ぽさ”を感じた。某おじさんが好きそうなフレーズの落とし込み方だよね。
2番のベースの仕掛けとラスサビに向かうところのオクターブのベースが特に好き。
7.5:03 PM
ポップが続いたあとにインスト置くのが天才すぎな流れだった。ギターメインの落ち着いた曲でアルバムに置いては箸休め兼次の曲への布石としての役割を担っている。この曲と後述するもう一つのインストがこのアルバムの最高のアクセントになっている。
8.夕暮れに紛れて
インストからこの曲に繋ぐの天才。最初に聴いた時は繋ぎ目がどこなのかわからないくらいスムーズな展開だった。
この曲も1分56秒と短く、同じ夕暮れ時の歌であることから、前の曲と1セットで楽しめる仕掛けになっている。悉く侮れないアルバムである。
9.E△7
一聴目で一番好きになった曲。スカースデイルや三日月の夜の真ん中のような、優しくて綺麗な音像を具現化するような歌詞付けがとても好き。
大切な言葉は~で始まるDメロとそこからラスサビに畳みかける手前の1拍のブレイクがとてもツボ。
読み方はギターのコードである「イーメジャーセブンス」?
10.XXXXX
ギターリフとエフェクトがかかったボーカルが印象的。優しいトーンの曲を連投していたところで再びダークサイドが顔を覗かせる。
No pain no gain(苦労なくして得るものなし)
Time flies like an arrow(光陰矢のごとし)
It’s not too late(まだ間に合う)
Dreams comes true(夢は叶う)といった言葉に?と本当かね?をつけていく皮肉的な歌詞が印象的。
間奏のXXXXX…のところは全然聞き取れないけどなにか大切なことを歌っていてそれを「xxxxx」で伏せているのかな。「いつまで経っても本気でいたい」だけは辛うじて聞き取れたが真相は...。
11.4:43 AM
ここでベースメインのインスト。ベース大好き人間には堪らん~。ゴリゴリのベースも好きだけど、こういう優しい音像で技が詰まっているフレーズも好き。
ちょっとディレイかかっているのが夜明け、朝焼けの時刻を上手く表す要因になっている気がする。
12.曙空をみつけて
ここも繋ぎ目がわからないくらい自然に歌に入ってくる。アルバム通じて時の流れが明示されているのがわかりやすくて良い。
2分19秒と短いバラードだが、前後の繋ぎも含めてとても良い。(さっきから良いしか言ってないな?)
13.ilaksa
これもベースソロから一連の繋がりで聴ける仕様になっていて良かった。
元ネタはイラクサというトゲのある植物のことで、刺という詞がたくさん出てくるのはそのためだろう。
カッティングのリフとラスサビのエフェクトがなくなる瞬間が好き。サビの中毒性が高し。ボーカルから楽器に渡って各サウンドのエフェクトの主張が激しくて、聴いていて面白かった。
14.Saturdays
アルバム最後を締めくくるのに相応しすぎる1曲。ピアノの旋律とアコギと斎藤さんの声との相性が最高。
この曲が最後ということは、逆算すると13曲目までの曲は金曜日の出来事で、夜を超えてSaturdayを迎えるという解釈で良いのだろうか。Saturdays≒「休みの日」という解釈であれば、普段の活動は平日、XIIXが休日という位置づけなのだろうか。もしそうだとすれば、平日と休日の狭間という位置づけの作品なのかもしれないな。ちょっと深読みが過ぎるかなこれは。
あと日曜日を太陽の日って表現するの素敵。そして、2020年頭に聴く「月の裏まで」って表現はあのアルバムのジャケットのおかげで歌詞に深みが増して聞こえるのが良い。
好きなところを挙げればキリがないが、1番はこの曲の最後に8度繰り返される「Yes we pray for saturdays」の部分。様々な楽器のアンサンブルが展開され、徐々に音数が減っていき、ストリングス、アコギ、ボーカル→アコギ、ボーカル→ボーカルとなる最後の3回は必聴。この締めくくり方は天才。E△7と並んでこのアルバムでトップクラスに好きな曲になった。
冒頭にも述べたように、14曲43分というボリュームと聴きやすさの両立ができているため、聴いていて本当に楽しかった。
日頃UNISON SQUARE GARDENの曲を最も頻繁に聴く自分ににとっては、新鮮な音楽が次々襲いかかって来る感覚でゾクゾクした。その反面、聴いていくたびに少しずつ世界観が飲み込めていく感じがするような楽しさもあった。
どんどん新曲が作られてるようなので年内にもう一枚くらいアルバム出しちゃったりするのかな。ライブも1回は観に行きたい。
これだけのクオリティの作品且つとてつもないポテンシャルのあるバンドなので、何かのきっかけ1つで人気者になってしまうような気がする。
今後このバンドがどう展開していくのか本当に興味深い。正直なところ、楽しみな気持ちのほかに少々の不安も感じてしまっているが、そういう話をしても仕方がないのでしまっておく。
あとこれは完全に自分ごとだけど、このバンドがTHE KEBABSの始動より前に表に出てきてしまっていたら、受け入れるのだいぶ大変だったと思う。本気がゆえにね。
そういう意味では課外活動という路を開拓したケバブスの存在には勝手に救われた気がする。斎藤さんも始動のタイミングは慎重に選んだと思うけど、結果的には満点に近かったのではないかな。
あとは斎藤さんがこのバンドで付けた力をどうやってUNISON SQUARE GARDENに還元していくのか、どう還元されているかについても今後は注目したい。楽しみ!
てことで雑に終わろうと思います。以上2020年1本目の記事でした。
今年もマイペースに更新していくのでどうぞよろしくお願いします。
お読みいただきありがとうございました。