おはようございます。
2020年7月24日7時24分に更新しました。(オタク特有の無駄なこだわり)
普通のロックバンドに戻って何気なくバンド結成記念日を迎える…というわけにもいかなかったような気がするけど、今年も7月24日を迎えましたね。
おめでとうそしてありがとうロックバンド~~~!!!
ということでちょっと前のトピックだけど、UNISON SQUARE GARDENのアルバムのサブスク解禁を祝した企画的なものを始めます!
内容はひたすらアルバムの好きなところを語るというもの。せっかくの機会だし新しいアルバムが出る前に既存曲への解釈を整理しておきたいと思って書き始めたものです。
あとは誰かの何かのきっかけになったらラッキーだよねってのもある。まぁそんな感じで、ひとつお付き合いください。
第1弾は1作目であるUNISON SQUARE GARDENのUNISON SQUARE GARDENについて語っていきます。
記事タイトルはあれです、7枚分あるから全部揃ったら虹じゃん、フルカラープログラムじゃん?みたいな発想です。(こうやって考えると7枚目のMODE MOOD MODEのツアーにフルカラープログラムが入ったのはある種の必然だったのかもしれないわね)
早速話を逸らしてるの良くないな。てことで書き綴っていきます!
―ロックバンドは、楽しい。―
- 【前書き】
- 1.カラクリカルカレ
- 2.センチメンタルピリオド
- 3.サンポサキマイライフ
- 4.デイライ協奏楽団
- 5.等身大の地球
- 6.MR.アンディ-party style-
- 7.WINDOW開ける
- 8.マスターボリューム
- 9.いつかの少年
- 10.箱庭ロック・ショー
- 11.クローバー
- -総括-
リリース:2009/04/15
【前書き】
ロックバンドは、楽しい。の言葉を引っ提げて世界に音を放った記念すべき1stアルバム。
今改めて聴くと歌い方や声質、楽器のサウンドにこそ多少の違い(最近のインタビューを引用すると”青さ”みたいなもの)はあれど、バンドとしての軸の強さを実感するアルバムになっている。
ロックバンド(≒UNISON SQUARE GARDEN)が楽しい。という思いは16年目を迎えようとしている今でも変わっていないだろう。
過去の様々なインタビューで語られている通り、UNISON SQUARE GARDENというバンドはライブの楽しさを燃料に歩き続けてきたのである。
あくまで彼らそれぞれにとっての“楽しい”が原点にあり、その思いが交差する先がUNISON SQUARE GARDENというバンドなのだろう。
それでは、曲、アルバムの構成という視点と、歌詞やバックボーンに注視した二点から、このアルバムを紐解いていこう。
1.カラクリカルカレ
・構成
フェードインしながらアルバムが始まるパターンはこれ以降の作品にも時々登場する。
1曲目から、2番までサビがあって間奏があって、、というボリュームのある曲を置くのはこのアルバムとCIDER ROADくらい。
ある種、1曲目から勝負曲を置いて勝ちに来るアルバムなのがこの2枚である。
・歌詞
「どうすんだよ、めちゃくちゃだぞ」から始まるこの曲には、当時のUNISON SQUARE GARDENの雄々しさが表れているように映る。
“何か”に対する怒りを表しているのか、はたまたこれからロックバンドが険しい道を歩んでいくことに対する覚悟を歌いあげているようにも聞こえる。
全体的にこのような、強く何かを刺すようなフレーズが多く見られるのが初期の特徴の一つでもある。
またサビの「超えて行けよ空、土台風船みたいなプライド 止まらないでよ今、割れてなくなっちゃう前に」
のようなどこか切なく焦燥感に駆り立たれているような表現が多いのも特徴。言葉の並べ方だったり、婉曲的な表現に関してはこの当時から変わらず光るものがある。
こういった部分に趣きを感じて物好き沼にはまった人も多いことだろう。
2.センチメンタルピリオド
・構成
1枚目のアルバムと1枚目のシングルというUNISON SQUARE GARDENのメジャーデビューのスタート地点を物語る1曲。2008年7月23日のリリースからもう12年ですってね。
2曲目にシングル曲を持ってくるのは7枚あるアルバムでこれが唯一のパターン。
カラクリカルカレからシームレスで繋がるような1-2曲目の曲間の調整は7枚目まで絶えることなく引き継がれている。
ただし、ライブではカポをつけなければいけない関係で、この繋ぎの実現はほぼ不可能なのが惜しまれる。
そして斎藤宏介さんのギターボーカルスキルの高さはこの頃からハイレベルである。
Bメロのアルペジオを弾きながら歌うのは本当に難しいのだけど、涼しい顔して演奏してしまうのだから流石である。
これをバンドやったことのない人にも伝えたくて比喩を考えるんだけど、しっくりくるものがなかなか見つからない。
2つ以上のことを絶妙なバランスで成立指せているという意味では、「一輪車乗りながらお手玉するピエロ」が一番近いかな(伝われ)。
クローバーのアルペジオや、後のリニアブルー、Invisible Sensationなどこのスキルある前提で生まれた曲も多いと思う。
作詞作曲田淵智也の文字に囚われすぎて見落としてしまいがちになるが、、3人のスキルの高さあってのUNISON SQUARE GARDENということはこの頃から現在まで、不変の事実だろう。
・歌詞
「ロックだけで暮らしていけるなんて言い訳にしか聞こえません」とか
「高性能のヘッドホンなんで世界の音も聞こえません」とか塞ぎこむような歌詞が印象的。
しかしこれが、10年後、15年後にプログラムcontinuedの歌詞として「耳を塞いだあの日から4000日くらい歩いていて」とか「今ちゃんと世界の音も聞こえているよ」とアンサーされているのが最高。
こんなことを書くのも恐れ多いが、年が経つにつれて精神的にどんどん“大人”になっていくのが泣ける。
3.サンポサキマイライフ
・構成
3曲目に3という数字を取り入れた曲を置くという、数字に掛かる遊び心もこの頃から健在。
今ではアルバムの曲より、ライブのセットリストで「〇曲目に〇という数字に縁のある曲を置く」みたいなパターンが多い。
・歌詞
「愚かなこの世の不条理に 言わせたいギャフンと言わせたい」
など、ここまでの2曲同様にややトゲのある歌詞が目立つ。
しかしこの曲のいいところはそんなトゲと同時に
「嫌じゃない?ならばついて来てよ」
「三歩先をエスコート 心配ない大丈夫さ」と優しい一面を覗かせているところ。
トゲも優しさも含めて、この頃からブレていないのが愛おしい。
4.デイライ協奏楽団
・構成
3曲続けてアッパーチューンが並んだところで、ちょっと肩の力が抜けたようなイントロが特徴的なこの曲が置かれているのが面白いところ。
この曲のような存在こそがこのバンドの多才さの裏付けである。
また、こうしたアルバム内での変化球曲は、その後のアルバム作りにおける1つのキーにもなっている。(メカトル時空探検隊、フィクションフリーククライシスetc.)
・歌詞
「君がダイヤモンドを壊していっそ世界に散りばめちゃってよ」はアルバムのジャケットの元ネタになっている。(歌詞が先がジャケットが先か知らないので誰か教えてください。多分歌詞が先なんだろうけど。)
ダイヤモンドが青で表現されているのは青い≒若い的な意味合いがあるのかなと邪推している。
5.等身大の地球
・構成
以前リクエストランキングの記事で人気が強いと話した4つ打ち×カッティング系曲の元祖。
ベースのスラップパートが長尺で入る曲は今の所これくらい。Aメロのキーの低さと言い、ある意味では割と珍しい構成の曲かもしれない。
シュガーソングとビターステップを作る際、「等身大の地球みたいな曲がいい」と注文が入った話は今ではかなり有名なのではないだろうか。
デイライ協奏楽団と等身大の地球は初期から16年目に至るまで、1stアルバムの中では特に多くライブで披露されており、ライブ音源も多数存在している。
歌い方や間奏のギターなど時代を追って変化していくのが面白いので未聴の方々はぜひ過去の音源や映像漁ってみてね。
特にスラップの裏のギターが年々スマートになっていくのが愛おしくて好き。
トリビュートのドキュメンタリーに収録されているカズ―ソロが入る鬼レアアレンジが好きすぎるのでいつかまたやってほしい…(あの日の等身大の地球はアウトロセッションとか曲名コールが入るところとかすべてが愛おしいので見たことない人はぜひ買いましょう...。ちょうど一年前の発売だね。)
・歌詞
「都合よく」と「2ゴールよく」、「不毛」と「Who know」など捻りと皮肉の効いた押韻が特徴的。
「等身大の地球を旅してよ」というフレーズからは、UNISON SQUARE GARDEN特有の必要以上に風呂敷を広げすぎない謙虚さみたいなものが滲み出ていて良い。
6.MR.アンディ-party style-
・構成
歴史的ダサカワPVでお馴染みparty style。
底抜けにポップでアルバム内でも異質な存在。
デイライ→等身大の地球と軽妙ポップな曲が続いたところでトドメの過剰なポップを持ってくる流れの作り方が上手い。
(どういう経緯でparty styleの製作に行きついたのか知りたい。)
・歌詞
「悩んでないのに朝が来て 悩んでないのに夜が来てしまう」けど「手を繋いでいよう 触れ合うとこだけもらっていこう」みたいな温かい寄り添いのある歌詞が印象的。
ちなみに武道館のMR.アンディの冒頭アレンジ「悩んでないのに朝が来て 悩んでないのに夜が来る」はparty styleの最後の所から持ってきたとする説が筆者の中で有力。
死ぬまでに一回は-party style-を生で見てみたいものだ。(オンラインライブ期待してます)
7.WINDOW開ける
・構成
振り幅の広さが凄すぎる流れ。
MR.アンディ-party style-がこのアルバムのポップの山場で、ここから再びロック路線に舵を切っていくことがわかる。
初期のころからやはり曲の流れを重視してアルバムが組まれていることがよくわかる並びと言えるだろう。
今でも稀にライブで披露され、終演後のTwitterを揺るがすことで知られている。(筆者の中でだけ)(2018年のCDJ)(去年のトリビュートライブ)
そうそう、去年のトリビュートライブではSSKに合わせてキーが変わっていて、それに応じてギターソロとその後のベースソロのフレーズが変わっていたのが良かった。
・歌詞
「嫌いなんだよ媚びんの」とか「煽らずともノリノリの」とか“らしさ”が詰まっていて好き。
間奏ではあの冷静沈着にギタボをこなす斎藤宏介が、珍しく体を激しく揺すってガンギマリギターソロをブチかますのが最高オブ最高。(CITSツアーの映像)
8.マスターボリューム
・構成
2ndシングル。WINDOWを開けたそのあとに来るイントロの清涼感が堪らない。
その後出たライブ音源と聴き比べるとその差は一目瞭然ならぬ一聴瞭然。
BPM、ギターの音作り、歌いこなしなど洗練のされ方が凄まじい進化を遂げている。
ライブ音源はCatcher In The Spyの初回限定盤及びfake town babyの初回限定盤に収録されている。
・歌詞
「北風を無視して5秒前を信じてみるんだ」とか「何が正しくて何が間違っているのか全部わかんないが問題ない」というフレーズにはとても心を救われてきた。
マスターボリュームはアンプに付属する音量調節のツマミのこと。このツマミによって音の出力量が変わってくるのだ。
なのでマスターボリューム≒「外へ出力(放出)したい想い(あるいは既に表に出している想い)」的な解釈が適当な気がしている。
そう考えると「描いていけ時代の彼方」の重みが増して聞こえてくるよね。
音の鳴らし方もそうだが、曲の描き方にちょっとギラついた感情が透けて見えるのが初期スクエアガーデンの良いところ。
9.いつかの少年
・構成
オリジナル版がそこそこ披露されているMR.アンディを除くと、このアルバムではこの曲が最もライブでの披露から遠ざかっている。
マスターボリュームの疾走感から一転してもう一度アルバムの流れを変える力がある。
ベースを軸に語り掛けるように歌が展開していくのが特徴。このタイプの曲でバラードはユニゾンではなかなか珍しい。
ライブでは使用するベースも珍しく変えており、それも今演奏しない理由なのかなと邪推している。
・歌詞
機材の問題もあるのかもしれないが、やはりどん底の暗闇にいるかのような歌詞に、最近のライブで披露されない原因があるのかと勘ぐってしまう。
個人的には田淵智也の闇(病み)歌詞は好きなのでこういう曲はまた出してほしいところなんだけどね。
「これが物語のひとつならば僕は今いずこの道の上 間違ってないはずなのに」
という歌詞と春が来てぼくらの「間違ってないはずの未来に向かう」がリンクしてないわけがないと思うのでいつかの少年→春が来てぼくらが実現してほしいんですよ。
とか去年も言っていたが、弥生町ロンリープラネットという大名曲が生まれてしまったことで、いつかの少年→春が来てぼくらが実現がまた遠のいてしまった気がする。悲しい。
10.箱庭ロック・ショー
・構成
アルバムの終結に向けた最後のキラーチューン枠はバンド名を落とし込んだタイトルのこの曲。
新世界ノートとは違う形での収録。D.A style含めて3ver.のCD音源があるのはこの曲くらいだろう。それだけ長くに渡って活躍している曲ということである。
ギターソロがとにかく良い。
・歌詞
先日のライブレポートにも記したように、筆者は「すべてのストーリーを流線形にしたい」を「すべてのストーリー(バンド活動)を流線形のようにスマートで切れ目のない1つのモノにしたい」と解釈している。
初期曲を今演奏しても遜色ないものにできたり、歌詞の世界観が大きくぶれることがないのは、“すべてのストーリーを流線形に”できている証左ではないだろうか。
そしてこれは、彼らのバンド軸“ロックバンドは、楽しい”が尽きない限り続いてくものだろう。
11.クローバー
・構成
アルバムの最後を飾るのはアルペジオとコーラスの美しさが際立つ大名曲「クローバー」
当時の持ち曲的やアルバムに入れたい曲との兼ね合いもあったとは思うが、バラードで締めくくるというのは大きな決断だったのでは?とも思う。
しかし、冒頭アッパーな3曲で前のめり気味で始まったアルバムが、こうして静謐甘美な幕引きをするのがとてもドラマチックだ。
・歌詞
「君がここにいないことで あなたがここにいないことで回ってしまう地球なんで別にいらないんだけどなぁ」というサビにこの曲の美しさの全てが詰め込まれているといっても過言ではないだろう。
田淵智也がしばしば用いる“~してしまう”(悩んでないのに夜が来てしまう/世界中を驚かせてしまうetc.)シリーズの中でも群を抜いてこれが好き。
ライブだとラスサビの「回って」のとこでめちゃくちゃ強く、かつ鮮やかで華麗に音を当てるのが最高だよね。
ちなみに、斎藤さんが喉のポリープ摘出手術から復帰した直後の自主企画fun time ACCIDENTの1曲目に選ばれたのがこの曲というエピソードがある。なんたる美しさたるや…。
そして箱庭ロック・ショーとクローバーはこの並びもそのまま結成10周年記念にリリースされた(事実上の)ベストアルバム「DUGOUT ACCIDENT」に収録される。(箱庭ロック・ショーは再録。クローバーは再mix。)
並びがそのままというのが本当に良いよね。
1stアルバムに収録されてからこの2曲が数々のライブシーンに色を加え、UNISON SQUARE GARDENの歴史を作り上げてきたことへの賛美と敬意が最大限に詰まった采配だったように思う。
-総括-
以上11曲。いかがだっただろうか。
ロックバンドはアルバムで語られるべきとまで言っているだけあって、1stアルバムながら、完成度の高い聴きごたえのある作品になっている。
現在の洗練に洗練を重ねたUNISON SQUARE GARDENを脳内にインプットしすぎていると、多かれ少なかれ音像のギャップを感じるかもしれない。
しかしながら、それでも確かにロックバンドが大切にし続けている“楽しい”をこのアルバムの節々から感じとることができるだろう。
同時に、“楽しい”と表裏一体となっている苦しみに近い負の感情も、目を背けず表現しているのがUNISON SQUARE GARDENのUNISON SQUARE GARDENという無限大の可能性を秘めたアルバムだ。
次回はJET CO.編。7月31日23:25更新を予定しています。
(9月30日までに7枚目まで語りきるのが目標!)
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