つばめも

ようこそ! Twitter→@_tsubamenote_

【ライブレポート!】 UNISON SQUARE GARDEN LIVE TOUR2021 「Normal」2021/3/2 Zepp Yokohama公演

※本記事は開催中のUNISON SQUARE GARDEN LIVE TOUR2021 「Normal」に関するネタバレを含みます。

従って、これからライブに参加する方は読まないことをオススメします。(予習したい方、ネタバレ上等な方々はぜひ読んでくださいね)

 

ということで書いていきます。今回は見た目の読みやすさを考えて以下のようにしてみます。

ライブの感想は普通にこのサイズの文字

オタク特有の考察は控え目にこのサイズの文字

と書き表していくので、ライブの感想とか雰囲気を流れよく読みたい方はこのサイズの文字を追っかけてください。

そんでもって、オタク特有の考察を読みたい人はこのサイズの文字も楽しんで頂ければと思います。

今回は長いので無理に一気読みせず、じっくり読んでいただけたら嬉しいです。

 

00.開演まで

f:id:tsubamenote:20210312065352j:image

 

今回の会場はライブハウスZepp Yokohama。フロアに椅子が並べられている状態だった。

久々のライブハウスで、筆者は斎藤さんの(ほぼ)ド真ん前の席を引いてしまい戦慄しながらその時を待っていた。

あまりにも前方にいたので、今回のブログでは会場全体の雰囲気とか動きは全然お伝えできないが、代わりに斎藤さんの細かい話をたくさんしていこうと思う。斎ギャなので(?)

さて、場内では今回も開演前に「立って見てもいい」「声は出さない」「マスクをする」等のアナウンスがされていた。

会場のキャパとライブ本数的にかなりの倍率を潜り抜けての参加となったが、始まってみればライブハウスなのに開演前や暗転中に座って一休みできたり、隣の人との感覚が開いているので自由に動けたりと今回のセッティングは快適極まりない環境だったわね。

 

SE.絵の具

個人的には2020年2月のメロディックスフェス以来の生絵の具。中にはBee Sideツアーや舞洲まで遡るような人もいたことだろう。

前回のツアーでは観客の退場SE的な演出に回されていたが、やはり青いライトとこの曲の静寂から始まるライブには堪らないものがある。

絵の具からライブを始めるという意味で「UNISON SQUARE GARDENにおけるNormal」を冒頭から味わえる。

お召し物は斎藤さんが黒×ピンクのシャツ、田淵さんがin the HOUSE2とかで着てた紺のTシャツ、タカオさんが黒シャツ(多分前のツアーから着てるやつ)+背面になんかカッコいい刺繍入りの黒ロングジャケット

いつものSEにいつもの装いで、いつも通りロックバンドの通常営業は幕を開けた。

 

01.セッション~Phantom Joke

絵の具の最中から斎藤さんはずっとドラム向きにギターを構えていた。久々のライブで思い出したが、絵の具が鳴りやむあの瞬間こそ、この世でもっとも緊張と興奮がせめぎ合う一瞬だ。

そんな一瞬を吹き飛ばすようにドラム起点から3コード弾いてセッションへ。ドラム→ギターとソロを繋ぎ、気づいた時には不意打ち気味に

「悲しくちゃ終われない まだずっと愛していたァーい!」というアレンジからイントロへ。

最初のコードがめちゃくちゃDizzy Tricksterっぽくてテンション上がってたんだけど、徐々に激しさが増していき、観客を置きざりにするかのように曲が始まっていたのが最高だった。

「Phantom Jokeのシングルツアー」という位置づけで1曲目にそのPhantom Jokeを置くのは、普段から捻くれたセットリストを展開するバンドにおいては意外なところ。

裏の裏は表だよと言われてるような感覚だった。順張りなのか逆張りなのかわからないナイスな配置で、またしてもセトリおじさんにしてやられてしまった。

この日のアクトは開幕からエンジン全開。以前までこの曲の演奏には殺気に近い雰囲気を感じていたが、今回はどちらかというと余裕を感じさせるようなアクトだったように記憶している。また、2020年というPhantom Joke修業期間を乗り越えたおかげか、音の厚みと圧がますます増して聴こえた。

細かい動作で言うとBメロのタンバリン連打が相変わらず光速すぎて面白かった。ドラムも近いからよく見えたんだけど本当に手数やばすぎ。また、昨年のオンラインライブで苦戦を強いられたように見受けられたDメロ(悲しくちゃ終われない~)も、今回は涼しい顔で歌い切っていて良かった。相変わらずのバケモノギタボ。

 

歌詞に着目していくと今回のセットリストでは「常識(≒ノーマル)」「忘れないでほしい」「旅」などがキーワードになっていたように感じる。これについては追って語っていく。

 

02.オリオンをなぞる

Phantom Jokeをバッチリ仕留めて(?)、「ようこそ!」とそのままオリオンへ突入した。

青い照明もすっかり板につくこの曲だが、ワンマンツアーでセットリストに入ったのは2015-16年のプログラムcontinuedツアー以来。

それ以外の場所で聴くチャンスが豊富にある曲ではあるが、久々のツアーセトリ入りとなった。

何度聴いても「あぁUNISON SQUARE GARDENのライブに来たんだな」という感が最高潮になってしまうし、色褪せない輝きがあって最高。

この日は周りから声が聞こえることもなくリズム隊のBメロコーラスが聞けたのも最高ポイント。

「僕がいて、あなたがいて、それだけで十分かな」って歌詞が何年経っても良すぎるんだなぁ。

そしてお馴染みのドラムアレンジ、2Aの追い込みとか、ラスサビでクラッシュガシャガシャ叩くのも本当に大好き。

 

2曲目での披露となったオリオンをなぞるだが、筆者的には以下のような点にPhantom Jokeとのリンクを感じている。

「昨日までをちゃんと愛して」→「まだずっと愛していたい」

「見たことない景色を見るよ ココデオワルハズガナイノニ」≒「この空の先を見たい」

このあたりに、「Phantom Jokeのシングルツアーとして聴くオリオンをなぞる」の文脈性を見出せるのではないだろうか。

 

03.meet the world time

オリオンの余韻が残る中、聴き慣れないリフからまさかまさかの曲に突入した。

この曲のライブでの披露は2014年の桜のまえツアー以来。筆者にとっては初めましてだ。

どの時代の曲だろうと、今のUNISON SQUARE GARDENは何を演奏してもかっこよくなってしまう無敵さがあって、本当に抗えない。

CD音源でキーボードのタイプ音などが入る間奏のキメの部分はドラムアレンジが入っていて良かった。(ブレイクだったりシンバルミュートだったりタムドコドコしたり)

ギターソロはなんか尺伸びてたような気もするけど、原曲聴きなおしたら元から意外と長尺だったので原曲通りだったかも。(曖昧)

どちらも音源以上に遊びが利いたアレンジで楽しかった。ちなみにこの部分ベースがめちゃくちゃシンプルなフレーズなのでベースの人は物凄い勢いでグルングルン回ってて笑った。

 

また3曲目という位置には、前回のon the SEATツアーで3曲目にフィクションフリーククライシスを置いたのと似た気配を感じる。今のセトリおじさんのトレンドは冒頭にちょっと変わった曲を挟むことなのだろうか。

セトリ入りした理由は色々こじつけられるが、しっくりくる解釈としてはPhantom Jokeの「まだまだ旅は終わらない」→「旅≒すごろく」という変換だろうか。

このバンドの詞には割と頻繁に「サイコロを投げる」「賽を振る」「振り出しに戻る」などすごろく的なワードが登場することから、その可能性は多いに考えられるだろう。

また前後の曲との繋がりの面では

“5”thシングルのオリオンをなぞる→世界をすごろくに見立てて6通りの道を進むmeet the world time→"No.6"へとリレーになっている。(アトラクション以降は後述)

 

04.アトラクションがはじまる(They say call it "No.6")

シンバル4カウントからスタート(まんまMMME音源の感じ)。最初に4曲も聴けるタイプのセットリストが久々だったので既におなか一杯になりそうなくらい楽しかった。

Aメロでライドを叩くドラマーの人の顔が爆イケ。「君が満足そうに抱える常識を~」のコーラスで白目がはみ出そうなくら目玉ひん剥いてたベースおじさんも最高。

ギターソロはめちゃめちゃ気持ちよさそうに弾いてたギタボおじさんも最高。

歌詞も演奏も音数たっぷりでタコほど忙しいはずなのに、なんであんな軽々しい身のこなしで引き倒せるんでしょうね…。サビの爆発力も凄かったな。

 

考察的な側面に話を転がすと、この曲がセトリ入りには2つの理由が深読みできる。

1つ目は「君が満足そうに抱える常識(ノーマル)を徹底的に壊して」というフレーズに由来するもの。

2つ目は「アトラクション(≒JET CO.)がはじまる」と解釈して、次に続くJET CO.の1-2曲目を暗示していたのではないかというもの。ちょっとこじつけ度が高い気もするけど。

なんにせよ、事前においしい位置で使われそうだなと思っていた曲だったので、なにやら意味ありげな使われ方をしてくれたのが嬉しい。(歪んだ感性)

 

最後はCD音源通りの締め方で、音を切って「UNISON SQUARE GARDENです!」と残して暗転した。

 

MC

斎「こんばんは、UNISON SQUARE GARDENです。今日は最後まで自由に楽しんでいってください。よろしく!」(的な感じのいつもの挨拶)

MCひとつとっても何気ない”いつも通り”に嬉しくなってしまう。

 

05.メッセンジャーフロム全世界

meet the world timeだけでもびっくりだったのに、重ねてJET CO.からの選曲が続き驚いた(このあともっと驚く)。

というのもJET CO.というアルバムはライブシーンにおいては不遇の象徴的ポジションにいて、主に演奏されているのはcody beats、ライドオンタイム、アイラブニージュー、23:25で、それ以外は演奏されただけで阿鼻叫喚が沸き起こってしまうような状態だった。

やっぱりこの曲は「少しくらいのシアワセ運べる力持ちなんです」のワンフレーズに心を浄化させられてしまう。いきなり泣いちゃったよね。

 

「君が泣いてたって生きてる”世界”(Phantom Joke)から聞こえる声が力になっている」と無理やりPhantom Jokeとこじつけることもできる。(かなり強引)

JET CO.とNormalツアーの関連性については次の曲で語ろうと思う。

 

青×白の照明がとても綺麗で良かった。アルバムジャケットのせいか、青のイメージがなかった曲なのでどこか新鮮だった。

 

06.コーヒーカップシンドローム

アンドゥトロワのリズムで始まるこの曲も、噂のJET CO.からの選出。ライブ中盤にアルバムの1-2曲目をそのまま引用するスタイルは「ありそうでなかった」ものなので、なかなか新鮮だった。

 

今回の物語の構図としては、アトラクションがはじまるによって遊園地に導かれ、アトラクション(コーヒーカップ)が始まったというところだろうか。(?)

筆者的には「コーヒーカップ≒せわしなく、ぐるぐる回る日々の暗喩」だと思っているので、「こんな鬱屈とした世の中での演奏」自体に意味が見出せるのかもしれない。

とすると、NormalとJET CO.は以下のように結びつくのではないだろうか。

JET CO.:自分たちの音楽がうまく鳴り響かない(結果に繋がらない)世界に絶望している中で、それでも可能性を見つけて(音楽の楽しさを信じて)完成にこぎつけたアルバム

<可能性なら、いくらでもある>

Normal:自分たちの音楽がうまく鳴り響かない(満足にライブができない)世界に悲しさがあるが、それでも普通にライブができる可能性を探して辿り着いたツアー

<悲しくちゃ終われない/ダメだそんな悲しいこと言うな>

要するにセトリおじさんの中では、JET CO.の制作時代に自分の目に見えていた世界」と、「この1年見てきた世の中」とが重なって見えていたのではないだろうか。

もちろんライブ中はこんなところまで考えられないので、ライブ中とライブ直後は全然JET CO.曲を連発した意図がわからなかったが、冷静に振り返るとこういう共通点があると言えそうだ。(去年頑張って書いたJET CO.考察ブログが役に立ちました。最後にリンク張るのでこのブログ読み終わったらぜひそちらへ!)

 

話をライブへ戻そう。この曲は「バカにつける薬を今日も考案中」の”バカ”の言い方とアウトロのベースソロが好き。

こういうベースの目立ち方って最近の曲にはない気がするので嬉しい。

等身大とか23:25みたいに音の方でもうちょっとベースが前に出てくる曲たくさん聞きたいな~(物理的/視覚的にはベースがたくさん前に出てきて嬉しいのよ?)

歌詞を見ていくと、今この時世で聴く「回る回るよ時代は回る」が沁みるし、今のUNISON SQUARE GARDENがこの曲を演奏すると「可能性なら腐るほどある」にはより一層の深みを感じる。本当に昔からいい歌詞ばっか書いてて最高。

×オレンジのハロウィンチックな照明が良かったよね。メッセンジャー同様に、こんな色のイメージのない曲だったので意外だった。

 

07.BUSTER DICE MISERY

痺れる繋ぎだった。2012年から2016年に飛ばされる急展開に笑った。

今聴くと曲調がシュガーソング+Phantom Joke÷2みたいな印象を受けた。恐らくAメロのベースラインとBメロの変則的なキメとリフの雰囲気が原因なんだろうけど。

間奏のドラムソロが大好き。

間奏直後の「ヘッダー、パンドラ、クルセイダーから~」で斎藤さんが意図的に息を吸う音をマイクに入れつつ、左半身を逸らしてゼスチャー大きめに歌に戻ってくるところがとても好き。

カウントなしで3人が同時に音を鳴らすので、その合図として斎藤さんがわざとそういうアクションを入れているんだと思われるが、間近で見るとスリリングなステージ上の空気がひしひしと伝わってきて最高だ。

 

この曲が今回選ばれた理由を考えてみると、meet the world time等との「DICE(を転がして)」繋がりや、Phantom Jokeとの「冗談(が上手くなる)」などの関連ワードの存在が思い浮かぶ。(もしかして10% rollやったのって「DICEを転がして→roll」ってことだったり??)

常世の業はげにげに深い」とかも深読みしたくなる。

2019年まで、この曲は対バンライブやフェスなどでそこそこ頻繁に演奏されていたが、そういう類のライブがなくなってしまい活躍の場が減っていたところだった。そういう意味でも、Normalツアーというライブの場が設けられたことによって救われた曲に当たるだろう。

(似たようなポジションにいる(と勝手に思っている)流れ星を撃ち落せやCheap Cheap Endrollも早く救われてほしいよね。)

 

08.instant EGOIST

BUSTER DICE MISERYを締めて音が止んだところでボーカルきっかけでのスタート。今回はドラムの繋ぎなしだったのが逆に新鮮で良かった。(なのでライブプレイリストを作るのが趣味の方はライブ音源ではなくCITSの方のCD音源を入れるのがオススメ。)

あんまり周りの観客を見ていなかったが、JET CO.繋ぎ→バカテクバスターダイスでやや置いていかれ気味だったフロアがこの曲で一気に縦ノリに呑まれたような感じがして面白かった。わかりやすい乗りやすさみたいなものも時には大事ね。

今回は斎藤さんの間近にいたのでエフェクターの踏みかえを凝視していたが、

歌い出しの軽い歪みの音から始まり、イントロ用に踏みかえ、Aメロ(左足でミュート?→右足でワウ踏んでカッティング)→Bメロで歪みに左足で踏みかえ、サビ前のキメでまた別の踏みかえ、サビに行く前に最初の音に戻る、等々踏みかえがめちゃくちゃ忙しかった。(間違ってたらごめんなさい)

踏みかえの数が多いわ、スイッチの位置的に踏む足も決まっているわ、それに伴って重心置く足が変わるため歌い方の姿勢も変えないといけないわ、と文字に起こすと、あの短い間に流れるように詰め込まれる工程の多さに驚く。やはりこのバンドのギターボーカルは多忙を極めている。

あと「We're kiddig ヒャハハ! 」の奇声にめちゃエコーかかってるのも面白かった。

そしてJET CO.曲がたくさんセトリ入りしている中で、23:25のリフを鳴らすのも一興。

 

歌詞の面からセトリ入りした要因を探してみると、

「We're kiddig(冗談だぜ)」がPhantom Jokeツアー要因として光り、Normal要因として「常識はどっか飛んで行っちゃったよ さぁ眼鏡を曇らせたまえ」の1フレーズが光っている。センス抜群すぎる選曲…。

そういえば昨年の投票で30位と好成績ながら披露機会がなかった曲でもあるので、それを回収した意味合いも10%くらいはあったのだろう。(文章すら繋ぎにこだわるオタク)(この10%に深い意味はないです)

 

09.10% roll, 10% romance

 instant EGOIST後、シンバルで余韻を残しつつ、ベースが一音ずつ音をあげていき、その間にカポを装着して2カウントから曲入り。

「お、ベースが音出してるしなんかするぞ?!」って感じですっかりそっちに視界を奪われている間に斎藤さんがカポをつけていたので、見事に策に乗せられてしまった。こういう隙間隙間までこだわってライブを作っているのがこのバンドの好きなところなんだよな~。

曲はと言うと、相変わらずAメロで歌詞のごとくrolling playingしていくベースが楽しそうで何より。上手の方まで回りながら遊びに来てくれて面白かった。

上手から下手へ戻っていく途中「ベースの人、絶対俺と目が合って笑ってくれたな」的瞬間があったのも嬉しかったわね(オタクあるある勘違い)

「だってこんな君を」で両足トントン、「近くで見れるのは」で首ブンブンのベースおじさん謎振り付けも健在でかわいかった。

この曲を聴くこと自体が、どこの遊園地のジェットコースターよりもスピーディーでスリリングでハッピーになれる体験かもしれない(?)

ラスサビの溜め込んで放たれる「僕だけで十分、だからさぁ~~~~~~」も高らか極まりないトーンで最高だった。 

 

歌詞を深読んでいくと

「善も悪も笑止 like 常識の坩堝 一方通行のメガネじゃ嗤われちゃうぜ」がそのままinstant EGOIST「常識はどっか飛んで行っちゃったよ さぁ眼鏡を曇らせたまえ」とリンクするし、このツアーの主軸となるPhantom Jokeとも結びつく(善々悪々、常識)。

また、Phantom Joke「だめだそんな悲しいこと言うなまだ世界は生きている」だから「君がどんな風に世界と踊るのか もったいないからちょっとずつ教えてほしいんだ」と繋げてしまえば、オリオンをなぞる同様にNormalツアーで聴く10% roll, 10% romanceとしての味が出るだろう。

あと個人的にスッキリしたのはDメロ「10% rolling playing 10% romance...」のロマンスがめちゃくちゃハッキリ聴きとれたこと。One rollツアーの頃からずっとちゃんと聴き取りたいと思っていたのがようやく回収できた気分だった。(笑)

 

MCざっくり

斎「今Normalというツアーを周っています。これはステージ上はもう元通りになったぞ!というのを示すためのツアーで、Phantom Jokeのシングルツアーということでやっています。

今日は見ての通りカメラも入っています。今回は映像化したものを本気でやったらどれだけの期間で出せるんだということに挑戦しまして、今日のこの映像が5月の28日に出ます!」(観客拍手)

(拍手に対して)斎「あぁすいませんね…。でも映像化するのに、ここからはちょっとレアな曲をたくさんやるんですよね。UNISON SQUARE GARDENといえばあのアニメの曲とか、あの曲とか、ってのが色々あると思うんだけど、

ここからやるのは俺でもお蔵に入ったと思ってたやつとかなのでね、、(笑)

映像売りますって言ってやる曲がそんなみんな知らないやつばっかで本当に売る気あるんかって思いますけどね(笑)」

→タカオがタムの端っこの木の部分使ってシュガーソングの冒頭フィルイン叩く→メンバー&会場笑うの流れがマジで面白かった。ネタにされる大ヒットシングルの扱いがかわいい(笑)。

 

10.RUNNERS HIGH REPRISE

ギタボドラムが向き合ってスタート。もうピロウズが関わるライブ以外で聴けないと思っていたからめちゃくちゃ嬉しかった。

割とこの曲は手拍子したい派なんだけど、この日はあんまりいなかった気がする。

ミドルテンポの曲として最高のテンポ感で最高の歌声だった。この曲のメロディライン本当に好きなんだよな。

10%からMCを挟んで10%のカップリングであるこの曲に繋がるのもアツい仕掛けである。

 

今回セトリ入りした意図としては、「bus stop mouseへ送る曲として作られたmouth to mouse(sent you)を使うセットリストなので、

同じくロックバンドにインスパイアされた曲であるスロウカーヴは打てないとRUNNERS HIGH REPRISEもセトリ入りした」という流れなのではないだろうか。

そんな深読みを踏まえた上で「安易な言葉の焼き直しじゃ反吐が出るやつもいるだろう」と聴くとまた味わいが増す。

instant EGOISTに引き続き、2度目の匂わせ登場となる23:25の存在にも気づいてあげたい。(謎に上から)

はやく本家23:25も聴きたい~~~~~。

 

11.キライ=キライ

MCで斎藤さんが言ってた「お蔵に入ったと思ってたやつ」はこれだろう。筆者も同感だった。もう生じゃ聴けないのだろうなと思っていたので嬉しかった。

真っ暗なステージに赤いライトが差し込み、切れ味抜群のギターのサウンドが最高に映えていた。

2番のドラムがけっこうアレンジ入っていて良かった。全体的にドラムはシンプル目(当バンド比)なので1音1音をしっかり味わうことができたのも良かった。

最大の目玉はベースソロ。歪んだ野太い音が最高にツボ。

完全にいらないことを言うと、あれだけJET CO.曲を演奏した流れで「まだレアなやつをやる」発言があったので、なんとなく察知できてしまった人もいたかもしれない。なんにせよ嬉しいけどね!

 

セトリ入りの要因としてはコーヒーカップシンドロームの項で述べたJET CO.とNormalへの親和性に加え、「キライ=キライ」≒「全部嫌になった」ということなのだろうか。

また「誰を泣かした?君を泣かした?」とPhantom Joke「君が泣いてたって生きてる」のリンクも感じられる。

Phantom JokeとJET CO.収録曲とを、ここまで色々な要素で結びつけることができるとは思わなかった。セトリおじさんの頭の柔らかさに今回もまた恐れおののくばかりである。

 

12.ぼくたちのしっぱい

やや長めの暗転からスタート。

ステージ暗めで、照明がドラム後方のうす黄色いライト1つだったのも優勝ポイント。(MMMクローバーに近いイメージ)

聴かせるタイプ、浸れるタイプの曲ではあるが、そこまでローテンポな訳ではないのもポイントだろう。次の曲も同系統なので今回のツアーにはローテンポのバラード(ex:光のどけき春の日に/クローバー等)がゼロという珍しさがあった。

聴かせるタイプだからといって音が静かというわけでもない点も抑えておきたい。この曲は特に静と動の対比がハッキリしている。

特にドラムの音が前に出るところと引くところのメリハリが抜群についているのが楽しさを助長させる。

このメリハリに関して、またまた斎藤さんのエフェクターの話になるが、

1サビが終わった瞬間にリフに入るのでサビを歌いながらエフェクターのスイッチを踏んでいて、ここでも器用じゃなきゃこなせないギタボの凄さを目の当たりにした。

Bee Side新木場のサイコロで偶然聴けたのももう1年半くらい前の話だが、あの頃のことを思い出した。(ここでもサイコロが関わってきてるのウケる笑)

 

13.流星のスコール

流星のスコールは2019年の舞洲ライブ以来の披露となった。あの時はまだ太陽が昇っている時間帯なのでステージが明るい状態だった。

一方、今回は暗いステージに展開する青メインの照明と白いライトが星の降る夜のように輝いていて、その情景がどこまでも幻想的でドラマチックだった。

 

意外な選曲だなと思った人も多いのではないだろうか。筆者もその一人なので歌詞の面から、セトリ入りやこの位置に置かれた要因を探してみよう。

まず思い当たるのは、僕たちのしっぱい「捻じれた夜空では」→流星のスコール「今夜、流星の指す方へ」という歌詞繋ぎ。とてもオシャレな情景描写に胸を打たれる。

また、シングル16曲のうち14曲は昨年のLIVE (in the) HOUSE以降のライブで最低1回ずつ演奏されている状況で、残るcody beatsはSpring×3再現ツアーでの演奏が決まっていたことも、この曲のセトリ入りに関わってきているような気がする。

そしてこの曲は”6”枚目のシングル 。今回序盤で散々サイコロの話をしてきたが、それにこじつけた”6”枠も兼ねていると受け取れそうだ。

果たしてどこまでがセトリおじさんの意図なのだろうか。真相は知り得ないが、仕組むのがうますぎて怖い。

バラードゾーン2曲目、ドラムソロへ行く直前という魅せポジションで聴く流星のスコールの美しさは筆舌に尽くしがたい。聴く状況に応じて楽曲の色が無限に変わっていくのもライブの醍醐味だ。 

 

ドラムソロ~セッション~

1曲目の前についていたセッションと雰囲気が似ていた(なんなら繋ぐ曲も似てた)。

ドラムソロはマーメイドスキャンダラス等で見せるフロアタム×バスドラで疑似ツインペダルを表現するアレが盛り込まれていて、いつも以上にドコドコバンバン低音の雨に打たれているような感覚だった。(雨というかもはや暴風雨)

スッキリした尺でセッションに移るまでがかなり速かったような気がする。ギターソロのあとベースソロ行くんだと思ったら存在しなくて悲しかった。

14.パンデミックサドンデス

「ロックバンド~~~~~~~~~!」以外の感情がなくなった瞬間だった。

タイトルやら何やらから、しばらく演奏から遠ざかるものだと思っていたが、「そんなタブーは存在しないぞ」と言わんばかりのセッション後の披露にやられた。

同系統の曲であるPhantom Jokeとの相乗効果もあるのだろう。この曲の音の厚みや、まとまりも相当にレベルアップしていたように感じた。

ドラムソロで全開にドラムを叩き倒してから、この手の力強いドラムが特徴の曲に繋がるのも良い。

そして相変わらず「少し静かにしてもらえますか」のピンスポがエロくて良かった。

 

Normal(普通)を謳うツアーの中心曲として「僕は異常なんかじゃないのに→なら僕は異常だって構わない」を歌う構図に痺れる。

正解の見えない問題に悩まされたり、何かに怒っている人が多い世の中、そんな解決策のない時代を”じゃあその前提で賽を振れ”と半ば諦め前を向くマインドが本当に好きだ。

取りまとめると、セットリストの核として置かれたこの曲には「異常なんかじゃない」「その前提で賽を振れ」等、ここまで述べてきたようなツアーのキーワードが曲の根幹に存在している。

また、2015年秋冬のこの曲を先行披露していた頃、インタビューで「(パンデミックサドンデスを演奏することで)この人たち武道館やったけど(売れ線に走るでもなく)何も変わる気ないんだなってのが表現できればいいと思っている」というような趣旨の発言を田淵さんがしていたのを覚えている。

シチュエーションこそ大きく違うが、今回のツアーでのパンデミックサドンデスも「この人たち変わる気ないんだんだな」というメッセージ性を感じさせる文脈での起用になっていることも、この曲のバックグランドストーリーとして加えておきたい。

 

15.スロウカーヴは打てない(that made me crazy)

ハイハットを8回鳴らすと、パンデミックサドンデスの余韻を良い意味で吹き消すような陽気なイントロが始まった。イントロ部分でベースが和音?コード弾き?(呼び方がわからん)をしてて良い。

ギターソロが今回もアレンジが入っていて良かった。場違いハミングバードのギターソロみたいな感じで、その時々でアレンジが変わっていくスタイルの曲になりそうで今後がとても楽しみ。

Catch up, latencyに繋ぐのベタに良いな~~~と思いこんでいたらまさかの裏切り。突然ヘッドホンお兄さんの登場で一気に先行きが全く読めなくなって楽しかった。

 

例によってセトリ入りの要因を探していこう。

まずは筆者が元々思っていた、「You may doubt ”Rock festival”」「腕は上がんなくちゃなわけがない」等々、昨今のライブシーンにおける”ノーマル”に一石を投じている曲という解釈が1つ当てはまるだろう。

また、パンデミックサドンデスの演奏と併せて、「世の中的なNormal」と「UNISON SQUARE GARDENにおけるNormal」の色合いの差が鮮明に表れる並びと解釈する余地があるだろう。

また、癖になる造語「恋に短し愛に長し」を「君の瞳に”恋”してない」と、桜のあと「”愛”が世界救うだなんて僕は信じてないけどね」で回収する構図も最高だ。愛についてはPhantom Joke「まだずっと”愛”していたい」とも重ねられるだろう。

 

16.君の瞳に恋してない

ヘッドホンつけたならシュガーソングかな?と思ったらこちらでまたまた裏切られて楽しかった。

底抜けに明るく、多幸感溢れるイントロで、一気に会場を包み込んでいた。しかし一方でライブの終わりの近づきも感じさせるどこか切なげに明るい瞬間だった。

そして、すっかりこの曲の目玉と化している間奏でのおふざけパートについても触れていこう。

この日は田淵さんが斎藤さんの目の前へスタンバイ。ギターソロになると斎藤さんが下手へ駆け出し田淵さんはその場にズッコケて客席に身体を倒しながら足だけ動かして床を擦っていくように下手へ移動していた(見たものをほぼそのまま文字に起こしているのに意味がわからない)

斎藤さんの目下5,6mのところにいた筆者視点だと、マイク前でスタンバってる汗だくベースおじさんの身体で斎藤さんが完全に隠れていて面白かった。(笑)

 

歌詞の面から見ていくと、スロウカーヴは打てないの項で触れた、「恋に短し愛に長し」とのリンクが想像できる。言い換えれば”恋”担当。いや恋してないんだけど。(うまい)

これを言い始めるとキリがないかもしれないが、そもそも「君の瞳に恋してない」というタイトル付けは、UNISON SQUARE GARDENにおけるNormal」な捻くれ方である。14-16曲目リレーにはそんなNormalの解釈をなぞっている意図があるのかもしれない。(やや力業)

 

最後はアウトロの最後の一音を弾かずに2カウント。

 

17.桜のあと(all qurtets lead to the?)

まさかの繋ぎ方にビックリした。今までカウントするなら4カウントorカウントなしで前の曲からダイレクトに繋ぐの2択だったのをひっくり返してのスタートで、既に楽しかった。(繋ぎ方のオタク)

相変わらずAメロから上手端でベースの人が遊んでいる謎空間が広がっていた。流し目に微笑むギタボの人の表情が菩薩だったね。

上手端から下手マイク前への爆走もなぜか見慣れてしまったが、毎回斎藤さんが笑っているのを見て心が安らぐ。(誰目線?)

 

「恋に短し愛に長し」の”愛”担当。いや愛が世界救うだなんて僕は信じてないけどね(これはややくどい)

そんなことよりデカい声で語りたいのは「忘れない忘れないよ」というフレーズについてである。

先日、斎藤さんのラジオに田淵さんがゲスト出演した際に「もともとライブをやりたくて組んだバンドだから、ライブがないと何していいかわからないし、みんなにも忘れられちゃうんだよ」というような趣旨の会話があった。

この感情は今回のセットリストの

1曲目Phantom Joke「だけど忘れないでほしいまだまだ旅は終わらない」

17曲目桜のあと「忘れない 忘れないよ 今も大人になっても だからこの瞬間だけは楽しませて」

というフレーズに込められているに違いないだろう。

ライブができる状況なら”普通に”ライブをやる。なぜならそれはUNISON SQUARE GARDENがロックバンドだからであり、ライブこそ彼らの生命線だからである。

このセットリストにおける桜のあとには、ライブやロックバンドを、そして楽しんでいる今この瞬間を”まだずっと愛していたい”と言わんばかりの深くて重い意味が込められていたように思う。

 

18.mouth to mouse(sent you)

「ラスト!」と一言置いてからスタート。

カップリング曲が本編ラストを飾るのもシングルツアーならではの趣きを感じるし、明るくも泣けるメロディーラインと歌詞の相乗効果で、最後の曲適性(?)が凄かった。

戦友bus stop mouseに向けた言葉であったはずの「さよならが聞きたいんじゃなくて また会えると言ってほしい」を2021年になっても我々が聴けてしまうことに感動せざるを得ない。

演出面では、Dメロ「妄想ブルー 枕オレンジ」という歌詞に寄り添うようにジワリと照明が×オレンジに切り替わるのが最高に泣けた。めちゃくちゃ綺麗だったんだよな。

 

特に深読み要素はないけど、強いて言えば今回のセットリストを俯瞰すると

Phantom Joke:最初

ぼくたちのしっぱい:真ん中

mouth to mouse(sent you):最後

とPhantom JokeのCDの構成っぽくなっており、こんなところからもシングルツアーらしさを感じて好き。(多分狙って組んだものではなく、楽曲が呼ぶ位置に置いた結果の偶然がなしたものだとは思うんだけどね)

あと「いたずらな蜃気楼」が偶然にもPhantom Joke要素。

 

Encore

斎「アンコールありがとうございます。今日の会場換気がすごいいいですよね。

(下手の方を見ながら)田淵の背中の汗を見て春を感じています。

はやく帰ってほしいので1曲だけ!」

と残して4カウントから最後の曲へ突入した。

(MCの内容+タカオがヘッドホンだったので完全に”春が来るアレ”やるんだと思った)

 

19.さわれない歌

予想外もいいところ。2019年の横須賀で「この曲に会えるのは少なく見積もっても5年後かな」なんて思っていたのに、こんなにも早く再会できるとは思っていなかった。またしてもやられてしまったね。

ありえない動揺と興奮でかなり記憶がないんだけど、万感の思いに満たされる本当に良い演奏だった。

全19曲久々のフル尺ワンマンでお腹いっぱいのロックバンドを摂取できた。本当に楽しい瞬間の連続だった。

 

最後にこの曲についても意図を手繰り寄せてみよう。

「2021年はとにかく普通に」

「ステージに音楽がある。観たいやつが観に来る。世の中に難しい決まりがあっても結局やることは変わらない。なぜなら我々はロックバンドだから。」

そう銘打って始まったNormalツアーを結ぶ曲が「僕(UNISON SQUARE GARDEN)が今日も旅に出る理由」を歌う、さわれない歌である。

このバンドのスタンスを明示するような歌詞が続くさわれない歌であるが、今回のツアーにおいては、その詞の全てを「UNISON SQUARE GARDENにとってのNormal」を示すメッセージとして受け取れるだろう。(ここまでこのブログを読んでいただいている皆さんに対してなら説明もいらないと思うので、この曲自体の歌詞の凄さの話は勝手に甘えて割愛する)

最初の曲に乗せて宣言した「まだまだ旅は終わらない」

最後の曲で「僕が今日も旅に出る理由は多分君には教えないけれど 届くなら let me sing...」と回収される壮大な伏線だったのだろう。

 

このツアーは、Normalを貫くスリーピースロックバンドの、誰にもさわれない旅が続いている様を表していたのかもしれない。

ベースおじさん曰はく、”共犯関係”と類される我々観客だが、彼らはそんな我々をまたしても1人きりじゃ行けないトコへ連れてってくれた。

 

セットリスト

01.セッション~Phantom Joke

02.オリオンをなぞる

03.meet the world time

04.アトラクションがはじまる(They say call it "No.6")

 

05.メッセンジャーフロム全世界

06.コーヒーカップシンドローム

07.BUSTER DICE MISERY

08.instant EGOIST

09.10% roll, 10% romance

 

10.RUNNERS HIGH REPRISE

11.キライ=キライ

 

12.ぼくたちのしっぱい

13.流星のスコール

 

ドラムソロ~セッション~

14.パンデミックサドンデス

15.スロウカーヴは打てない(that made me crazy)

16.君の瞳に恋してない

17.桜のあと(all qurtets lead to the?)

18.mouth to mouse(sent you)

 

Encore

19.さわれない歌

 

お読みいただきありがとうございました。

本文中で触れていたJET CO.の考察はこちらです。(7枚分書こうと思っていたけど4枚目以降は後回し中…)

tsubamenote.hatenablog.com

 

そして今回のツアー開始前に考えた予想(妄想)セットリストの話がこちら

tsubamenote.hatenablog.com

ざっくり予想を総括すると、曲目で見たらほとんど掠ってないけど、Normalについての読み込み自体は近い部分をついていたような気もします。(Who is normal in this show?やらなかったの意外すぎたわね)

ということで興味のある方、まだオタクの長文に付き合ってやんよという方は是非よろしくお願いします。

 

ご意見ご感想はこちら…

Twitter→ https://twitter.com/_tsubamenote_

・質問箱→ https://peing.net/ja/me/home

 

それではまた!